投稿月 表        題
平成29年6月 除草剤等利用による下草管理でイノシシ用電気柵の漏電を回避
平成29年7月 大規模経営を目指した食用ナバナの品種構成
平成29年8月 10月上旬まきホウレンソウの優良品種選定
平成29年9月 加工・業務用春どりキャベツの作型
 

平成296月投稿

 

 

筆者

所属

千葉県農林総合研究センター 生産環境研究室

職名及び氏名

研究員

松村 広貴

題名

水田の電気柵は除草剤等で下草管理

千葉県ではイノシシによる農作物被害が深刻になっています。作物別では水稲の被害が最も多く、その対策が求められています。被害圃場では、イノシシ侵入抑制効果の高い電気柵を設置する場合が多いものの、電線に雑草が接触し漏電することにより、効果が低下する事例がよく見られます。そこで、イノシシの侵入頻度が高まる出穂期から収穫期までの約1か月半の間、雑草の接触を防止するための省力的な電気柵の下草管理方法を明らかにしました。

出穂期から収穫期までの期間に、地上高20cmの電線への雑草の接触を防ぐためには、まず、出穂期に刈払機による草刈りを行い、その約5日後に、@除草剤のグルホシネート液剤(バスタ液剤等)1回ないし2回散布、Aグリホサートカリウム塩液剤(ラウンドアップマックスロード液剤)1回散布、B抑草剤のビスピリバックナトリウム塩液剤(グラスショート液剤等)2回散布のいずれかを行います。2回目の薬剤散布は、雑草が20cm以上に伸長する2週間後が適切です。グルホシネート液剤は1回散布で十分効果はありますが、雨が多いなど雑草の生長が旺盛な年は2回目を散布します。グリホサートカリウム塩液剤は1回散布で十分な効果がありますが、地下部まで枯らし地表面が露出する場合がありますので、傾斜のある畦畔では使用を控えます。

電気柵の下草管理が適切に行われていてもイノシシに侵入されるリスクはあります。電線を支柱の外側に配置する、地面に凹凸がある箇所では起伏に合わせて電線の高さを調整する等の正しい設置を心がけてください。



  水稲栽培における電気柵の下草管理作業体系

 注1)千葉県の水稲栽培は早期栽培が主流

2)除草剤の活用で草刈り作業を3回程度省略できる

 

平成297月投稿

 

 

筆者

所属

千葉県農林総合研究センター 野菜・花き研究室

職名及び氏名

研究員

宮本 直子

題名

大規模経営を目指した食用ナバナの品種構成


 千葉県南部で古くから栽培され、手間暇かけて花蕾を束ねた美しい荷姿の食用ナバナは春を呼ぶ食材として、高単価で取り引きされています。しかし、その出荷調製労力の負担が大きく、規模拡大を阻んでいます。そのため近年では、加工・業務向けに、花蕾を束ねずに小袋やコンテナに入れる省力的な出荷形態が導入され、規模拡大が進みつつあります。そこで、加工・業務用出荷に求められる計画生産・安定出荷に向けた、4回の播種時期とその品種構成を紹介します。

@  9月上旬に早生の「春華」(日本農産)又は「CR京の春」(丸種)を播種すると、いずれも10月下旬〜1月上旬が収穫時期となります。

A  9月中旬に中生の「栄華」(サカタのタネ)及び中晩生の「CR華の舞」(丸種)を播種すると、それぞれ12月中旬〜3月中旬及び1月上旬〜3月下旬が収穫時期となります。

B  9月下旬に「栄華」及び「CR華の舞」を播種すると、それぞれ1月中旬〜3月下旬及び1月下旬〜3月下旬の収穫になります。しかし9月中旬播種に比べ収量は少なくなります。そこで、9月下旬は晩生の「サカタ88号」(サカタのタネ)又は「CR花まつり」(丸種)を播種すると、それぞれ2月上旬〜4月上旬、2月中旬〜4月上旬に収穫できます。

C  最後は10月上旬に「サカタ88号」又は「CR花まつり」を播種すると、いずれも2月中下旬〜4月上旬に収穫となります。

このように早生〜晩生の品種を組み合わせて順次播種していくと、各品種の収穫ピークが重ならず、長期的な連続出荷が可能です。作付面積5haを想定した出荷モデルを図に示しました。ただし、長雨や台風等で適期に播種できない場合は、移植栽培を導入するなどの対策が必要となります。



図 時期別出荷量のモデル

   注)花蕾を15cmに調製した場合

平成298月投稿

 

 

筆者

所属

千葉県農林総合研究センター 野菜研究室

職名及び氏名

主席研究員

齊藤 俊一

題名

10月上旬まきホウレンソウの優良品種選定


野菜生産面での主な問題は、気象変動による生育障害の発生、資材費の高騰、新規病害虫の発生、長期の連作による収量の低下等があげられます。これらを回避し安定的な生産を図るためには、作型に適応した病害虫に強い優良品種の選定が重要です。

そこで、都市近郊で栽培が多く、産出額133億円と全国第2位(平成26年産)であるホウレンソウを対象に主要作型である10月上旬まき露地栽培において、優良品種の選定を行いました(第63回千葉県野菜品種審査会)。

栽培期間中の平成271011月は比較的好天が多く、平均気温は平年より高く推移しました。10月は日照時間が平年より多めで降水量が少なく、11月は降水量が平年より多くなりました。気温が高かったため、生育は前進しました。

供試した18品種のうち、5品種が入賞品種となり、1位は「F1黒葉ルーキー」(中原採種場())でした。以下、「ユアーズ」(カネコ種苗())、「TC-014(タキイ種苗())、「スーパーヴィジョン」(トキタ種苗())、「フォルティシモ」(()トーホク)の順であり、これらを優良品種として選定しました。

F1黒葉ルーキー」、「フォルティシモ」、「スーパーヴィジョン」は比較的コンパクトで草丈が低く、商品性に優れる草姿でした。葉形はほとんどの品種が中間的でしたが、「スーパーヴィジョン」などいくつかの品種はやや剣葉でした。葉色はいずれの品種も濃緑であり、SPAD値で40を超えていました。1株重は「F1黒葉ルーキー」が28.7gとなり、最も重くなりました。重要病害であるべと病の発生は、入賞した全ての品種で認められませんでした。入賞したいずれの品種も病害等に起因する欠株はほとんどなく、収量は1,400kg/10a以上となり多収でした。

 

表 優良品種として選定した10月上旬まきホウレンソウの生育及び収量

順位

品種名

(種苗会社名)

草丈

葉形

葉色

(SPAD)

1株重

(g)

10a当たり収量

株数

()

重量

(kg)

1

F1黒葉ルーキー

(中原採種場()

中間

50.9

28.7

58,900

1,690

2

ユアーズ

(カネコ種苗()

中間

50.8

24.2

59,700

1,442

3

TC-014

(タキイ種苗()

中間

44.9

26.9

66,100

1,776

4

スーパーヴィジョン

(トキタ種苗()

やや剣

45.9

24.5

65,300

1,598

5

フォルティシモ

()トーホク)

中間

43.8

23.3

63,200

1,470

注1)播種108日、栽植様式はベッド幅110p、通路幅110p、条間15p、株間4p、6条、

播種深度1cmで、シードテープ(ホルセロン)を使用し1粒まきした。

  2)施肥は10a当り化成8号(8-8-8170kg、苦土石灰100kgを全量基肥で施用した。

3)草丈は達観で大中小の3段階、葉型は剣、やや剣、中間、やや丸、丸の5段階で評価

4)審査日は平成271126

 

平成299月投稿

 

 

筆者

所属

千葉県農林総合研究センター 東総野菜研究室

職名及び氏名

上席研究員

町田剛史

題名

加工・業務用春どりキャベツのべたがけ栽培


 加工・業務用には寒玉系キャベツが主に用いられていますが、抽台により出荷量が減少する4〜5月の安定供給が望まれています。4月中旬までの出荷は、夏播き栽培でまかなわれますが、5月下旬頃から出荷するためには、10月に播種して年内に定植する秋播き春どり栽培が行われます。この秋播き栽培にべたがけを加えることで、さらに前進化を図ることができます。べたがけ栽培では、「ことみ」(日本農林社)や「YR五月っ子」(中原採種場)等の早生性と晩抽性に優れる品種を101520日に播種し、11月下旬に定植します。べたがけ資材にはパスライト(ユニチカ)等が適しています。これにより、収穫期が無被覆の栽培に比べ1週間程度早くなり、地域やその年の気象条件により多少前後しますが、5月上中旬からの出荷が可能となります。

 べたがけ開始を1112月とした場合、年内に過度の保温となって、抽台や雑草が発生したり、早く収穫を開始できても加工・業務用出荷としては結球重が軽いまま裂球してしまいます。これらを防ぐために、べたがけは1月まで待ってから開始します。べたがけ栽培の途中で中耕・培土や除草を行うには、べたがけ資材をいったん外さなければなりません。1月のべたがけ開始の直前に中耕・培土して、通路部分の除草を行い、併せて菌核病等の防除をしておくと省力的です。ただし、べたがけ中であっても生育状況の確認は怠らず、必要に応じて雑草や病害虫の防除、追肥を行います。


          加工・業務用春どりキャベツの作型

) 凡例 ●:播種、▲:定植、 :べたがけ、■:収穫

       東総野菜研究室(旭市)における試験結果から作成


過去の研究報告はこちらからもご覧になれます。

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