NO.18 大切な牛を乳房炎で失わないために@ キーワードは「牛床」「乳頭」「抵抗力」 
 酪農家のみなさんにとって、気温が上がってくると、気になるのが環境性の乳房炎だと 思います。特に大腸菌やクレブシエラなどの腸内細菌による急性乳房炎は、乳量が激減するだけでなく、菌が死ぬ時に発生する毒素(エンドトキシン)によるショックで 牛が起立不能や、死亡する例も少なくありません。牛が助かっても泌乳停止になることもあり、被害がとても大きな乳房炎です。

 大腸菌などの腸内細菌は牛のふん便中に多く存在しますが、実は未使用のおがくずにも多く含まれています。フリーストールやフリーバーンの牛舎で敷料としてお がくずを使用した場合、高温多湿の牛床では大腸菌などの乳房炎原因菌が容易に増えます。そして乳頭口から乳房内に入る機会も非常に多くなります。分娩前後や高泌乳、暑熱によるストレスなどによって免疫力が低下している牛では特に要注意です。

 腸内細菌の乳房炎になると、乳房は熱と痛みを伴いかなり腫れます。乳汁は薄く黄色みを帯びることが多く、食欲や元気が急になくなり、発熱、下痢などの全身症 状もでて起立不能になるケースもあるので、すぐ獣医師に往診を依頼して下さい。症状の進行がとても早いので、早期発見、早期治療がとても重要です。

 腸内細菌による乳房炎を予防するにはどうすればいいのでしょうか。
 @牛床の菌数を減らす=おがくずに消石灰を混ぜて使用したり、良質な完熟堆肥(発酵温度を70度以上、何度も繰り返し後にサラサラになるくらい十分乾燥した もの)を戻し堆肥として敷料にすると菌数を減らすことができます。石灰窒素は毒性が強く、人や牛への健康被害も大きいので敷料への添加など畜舎内では使用してはいけ ません。
 A乳頭にやさしい搾乳を行う=環境性乳房炎が多い場合には搾乳方法を見直すことも必要です。特に過搾乳はデリケートな乳頭を傷めてしまい、乳房炎への近道を 作ります。
 B牛の抵抗力を上げる=牛のストレス(低栄養、暑熱、過密など)を軽減したり、ビタミンで免疫力アップを図ることも効果的です。特に分娩前後や高泌乳の牛を しっかりとケアしてあげるといいと思います。

 大切な牛を乳房炎で失わないために、「牛床」「乳頭」「抵抗力」がキーワードです。

おがくずに消石灰を混ぜて使用したり、良質な完熟堆肥を戻し堆肥として敷料にすることで菌数を減らすことができます。
(農業共済新聞千葉版 2007年4月2号に掲載)
ちばNOSAI連 千葉県農業共済組合連合会