NO.49 お産の介助は、牛の陣痛に合わせて行いましょう
 牛のお産は、新たな生命の誕生であり、常に感動的かつ生産的瞬間であるべきです。しかし、産前の管理ミス や分娩時の不適切な処置が有れば、それまでの努力が水泡に帰してしまう危険な瞬間でもあります。
 難産の原因には、 人為的要因として、種雄牛の選択の適否から始まり、乾乳期の栄養管理の失敗、運動不足等が挙げられます。また、 お産の不適切な介助も生命の誕生の阻害要因となり得ます。
 お産は、自然分娩が基本ですが、陣痛が始まって2〜3 時間経過して、進展が無い場合は介助を考えなくてはなりません。
 最近、人手不足や省力化のため、お産の時に滑車等の助産器を使う農家が増えています。(私も使っていますし、推奨もしています。)しかし、正しく使えば、牛も人も楽になる効果的なすばらしい道具である助産器も、ひとたび使用法を誤れば、凶器にも成り得ます。
 例えば、動滑車の原理あるいは歯車の原理を忘れ、いつの間にか恐ろしい力で引っぱっている。お産は進まないのに、母牛は動くは、生きている牛のお産を介助している事を忘れてしまうほど無我夢中になっていませんか?
 助産器は、お産の進行を維持し、牛の陣痛に合わせて産道を広げるための道具と理解して下さい。助産器で牽引する前に、まず、破水の有無、胎位と産道の開き具合等をみてください。ここで異常が有り、自分の手に負えないと思ったら、すぐ診療所に連絡をして下さい。
 正常な胎位と十分な産道の開き具合を確認してから、助産器を装着し、方向と角度を工夫して、ゆっくり慎重に、牽引します。お産の進み具合により、牽引する方向と角度を修正します。まさに「急いては事を仕損じる」です。胎児娩出。生まれた子牛の姿を見て、その子牛が成牛になった姿を想像する、それで、お産は終了です。
 河童の世界では、父親が生まれてこようとしている胎児に「お前はこの世界へ生まれてくるかどうか、よく考えた上 で返事をしろ」と、胎児の意思を確認した上でお産を始めると云います。河童の胎児の様に牛の胎児が意思を持つか どうかは疑問ですが、子牛が納得して良い返事が出来る様な環境とお産の準備をして、感動的瞬間を待ちたいものです。
(農業共済新聞千葉版 2010年4月2号に掲載)
ちばNOSAI連 千葉県農業共済組合連合会