NO.62 分娩後に多い股開き 滑走防止ベルトも有効
 今年の夏も大変な猛暑となりました。停電の心配や節電が叫ばれる中、暑熱対策に大変な労力を割かれたことと思います。 それでも、いわゆる「夏産み」の牛の事故は絶えません。夏の分娩に限らず大切な牛を起立不能で失わないために、今回は牛の産道の変化に着目して、股関節脱臼(股開き)やダウナー症候群など、肢に関係する疾患が分娩前後になぜ 多くなるのかをお話したいと思います。
 よく、私たちはお産の時に「産道の開き具合は・・・」といいます。物の本には、「産道とは分娩時の胎児の通り道」とあります。産道は骨盤の内側の「骨産道」と子宮頸管・腟・外陰部などからなる 「軟産道」に分けられます。
 このうち、骨産道を開かせるために妊娠末期から分娩後の数日間、リラキシンというホルモンが分泌されます。このホルモンは、骨盤の靭帯を緩め、子牛を通りやすくすることが大きな働きなのですが、 骨盤に限らず、体中の関節の靭帯を緩める可能性があるといわれています。
 その結果として、 @関節を支えるために筋肉・腱・関節へのストレスが大きくなり、A関節の動く範囲が過剰になります。 これが原因となり、肢の弱い牛や蹄の悪い牛では関節炎や蹄病の悪化、筋肉の損傷が起きやすくなります。
 また、滑りやすい牛床では股関節脱臼が起こる危険性が高まります。ずいぶん乱暴な言い方かもしれませんが 「体中の関節がグラグラになっている」ので、何もしないままでいるのはとても危険な事なのです。
 乾乳牛舎や分娩房で管理できることが一番ですが、今日からできることとしては、やはり1頭1頭の状態に気を配ることが重要です。 例えば、バーンクリーナーを塞いだり、ロストルにマットを敷いたりして、滑らないように手を掛けてあげるだけでも違います。 牛によっては滑走防止ベルトもかなりの効果があります。
 普段から行っている事を確実に行い、なおかつ、気になる事や心配な事があれば、家畜診療所の獣医師に相談してください。
(農業共済新聞千葉版 2011年9月4号に掲載)
ちばNOSAI連 千葉県農業共済組合連合会