NO.77 分娩房を見直そう
 昨年より配合飼料・乾草等の価格が高騰し、今年に入り急激な円安となりさらに畜産経営を圧迫してきています。そのため、いかにロスをなくすかが、ますます重要になってきています。

 分娩時の母牛や子牛の事故は、大きなロスの一つに数えられます。分娩房でお産をしていれば、起こらないような事故に時々遭遇します。分娩房の特徴は、牛が繋がれずに自由に動けることです。ここでは、改めて分娩房について考えてみたいと思います。

 母牛は分娩が始まると、頻繁に寝起きと寝返りを繰り返します。軽い胎子の失位(肢の屈曲など)は、この母牛の動作と胎子自らの動きにより正常な態勢となって分娩が進みます。

 ところが、寝起きが制限される狭い所や滑りやすい所に繋留されたままでいると、自然に失位が整復されずさらに重度の難産(失位)となり、子牛だけでなく、状態によっては母牛も危険にさらされます。また、滑走や転倒などにより、股関節・肢等を損傷し起立不能となり大事な牛を失う結果となります。
 また、母牛が繋留されたままだと、畜主が気付かないうちに子牛が生まれ、寒い時期には濡れたまま冷たいコンクリートの上や尿溝の中で熱を奪われて冷たくなり、死亡していることもあります。

 一方、敷料の豊富な分娩房に母牛がいれば、お産後すぐに子牛を舐めることが出来るので、子牛は体が乾き、血行も促進されて低体温による事故も防ぐことが出来ます。分娩房では牛体を比較的清潔に保てるため乳房炎の予防にもなります。そしてなにより母牛のストレスを軽減することが出来ます。

 分娩時の事故(=ロス)を減らすことは、搾乳頭数の維持、母牛の生産性の向上、後継牛の確保、子牛の販売と畜産経営上の重要なポイントです。小さな分娩房で充分です。分娩房への移動は生まれる直前でもかまいません。それでも母牛にはとても楽なのです。分娩房の重要性について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
(農業共済新聞千葉版)
ちばNOSAI連 千葉県農業共済組合連合会