ハウス抑制トマト栽培における遮光とかん水による着果安定

2021年6月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 野菜研究室
職名及び氏名研究員 橋本 奈都希
題名ハウス抑制トマト栽培における遮光とかん水による着果安定

近年、最高気温が35℃以上となる猛暑日が増加し、トマトの抑制栽培では着果不良や各種の障害果の発生が増えています。これらの障害を減らして増収をねらうには、適切な遮光とかん水が不可欠です。

遮光資材は8月末まで
抑制栽培では室温を下げるため、7月の定植前から遮光を行うのが基本です。遮光資材としては、石灰資材のように屋根面に塗布して使うタイプのほか、通気性のあるネットタイプものがあります。ネットの場合は屋根の上に乗せる張り方がよく、カーテンとしてハウス内に張る方法は、ネット自体が熱くなって気温低下を妨げますのでお勧めしません。また、不必要に長く遮光を続けると光合成不足を起こし、かえって着果数の減少を引き起こします。遮光ネットは8月末には取り外すようにしましょう。

かん水はpF値を測って、こまめに
果菜類の栽培には、根張りをよくするために、定植からしばらくの間はかん水を控えたほうが良いと言われています。しかし、近年の抑制トマト栽培では、夏の高温乾燥が激しく、これでは対応できない年が増えています。土壌が乾き過ぎていると着果不良が起こり、カルシウムの吸収量が減ることで尻腐れ果が発生しますので、一回5~10㎜のかん水をこまめに行うことが必要です。
また、株が大きくなってくると、かん水してもベッドの表面が湿っただけで内部が乾いたままで水不足が起こっていることがあります。それを防ぐにはベッド内部の状態を測って常に確認しておくことが大切です。具体的には、受感部が地下15㎝程度になるようにpFメーターを設置し、pF値が1.8~2.3の範囲(黒ボク土の場合)になるようにかん水します。

【図説明】トマトの株元に設置したpFメーター