燃やせる土を用いた鉢花で消費者の土の処分の悩みを解決

2022年3月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 花植木研究室
職名及び氏名研究員 室田 有里
題名燃やせる土を用いた鉢花で消費者の土の処分の悩みを解決

鉢花の土の処分に悩む消費者
苗物や鉢植えの土は家庭ごみとして処分ができない自治体がほとんどです。そのため、特に庭がないマンションにお住まいの方には、花は好きでも「処分に困る土付きの植物(鉢花、花壇苗等)」の購入が敬遠される場合があります。

鉱物を含まない、100%植物由来の燃やせる土
そこで、植物を家庭でもっと気軽に楽しんでいただけるよう、観賞後には可燃ごみとして捨てられる燃やせる土を開発しました。通常、植物の栽培に使用される土は赤土等をベースにするため不燃性の鉱物が含まれますが、燃やせる土はピートモス、ココピート、木質チップを原料としています。5号鉢サイズの土の焼却(600℃、2時間)残渣の重量は、焼却前に比べ慣行土では約30%減少したのに対し、燃やせる土では約90%と著しく減少しました。
燃やせる土は、水を含んでも慣行土より30~40%軽く、作業労力の軽減にもつながりますが、かん水頻度は同等かやや多くなるなど水管理にはやや注意を要します。また、この土を使った試験から、パンジー、ダイアンサス等の苗物、シクラメン、アジサイ等の鉢物が栽培できることが確認されています(図)。

鉢花生産者の動き
燃やせる土の試験に協力してくださった県内の鉢花生産者が中心となり、燃やせる土を用いた鉢花の試作及び商品開発について考える研究会組織が結成され、現在も栽培方法の改良等に取り組んでいます。来年度は本格生産に向け、燃やせる土を用いたシクラメンなどの試作及び試験販売が予定されています。

写真 異なる培養土で栽培したシクラメンの草姿(左:慣行土、右:燃やせる土)