湿地性カラー新品種「Brilliant・Bell」の育成

2022年9月

筆者所属千葉県農林総合研究センター暖地園芸研究所 野菜・花き研究室
職名及び氏名室長 種谷 光泰
題名湿地性カラー新品種「Brilliant・Bell」の育成

千葉県君津地域は、豊富な湧水を利用した湿地性カラーの生産が盛んで、全国屈指の産地となっています。

当センターでは、産地からの要望を受けて、病気に強く、開花時期が早い湿地性カラーの優良品種育成に平成21年から取り組んできました。その結果、本年3月に新品種「千葉C2号」が品種登録されました。昨年、「千葉C2号」の愛称を募集したところ、全国から二千点近い応募があり、その中から「Brilliant・Bell(ブリリアント・ベル)」が選ばれました。この愛称には、白いベルのような花からのイメージで、未来を輝かせる新しい門出に、お祝いの鐘の音が響きますように、という祈りが込められています。

「Brilliant・Bell」の花(苞)は、産地で主力品種となっている「ウェディングマーチ」と比べて、コンパクトで、花茎が細い特徴があります。そのため、冠婚葬祭等の業務需要のみならず、小型のアレンジやブーケにも使いやすく新たな需要が期待されています。また、正面から見た場合、苞の重なり部分が少ない特徴があります。カラーの重要病害である疫病に汚染された現地圃場においても問題なく生育し、定植してから1年以内で切り花の収穫が可能です。

「Brilliant・Bell」は、早生品種であり、10~12月の株当たり収穫本数は、「ウェディングマーチ」に比較して多いのが特徴です。10~12月はカラー切り花の需要期であり、高単価が期待出来ます。また、1シーズン当たりでは「ウェディングマーチ」の2倍半以上の収穫本数が期待出来る多収性品種です。以上のことから、生産者の収益向上が見込めます。

写真 新品種「Brilliant・Bell」の花(苞)