北総台地に適する春夏どりニンジンの優良品種の選定(第68回千葉県野菜品種審査会)

2022年11月

筆者所属農林総合研究センター 水稲・畑地園芸研究所 畑地利用研究室
職名及び氏名研究員 髙橋 紘輝
題名北総台地に適する春夏どりニンジンの優良品種の選定(第68回千葉県野菜品種審査会)

千葉県のニンジンは、作付面積が全国第2位の2,950ha(令和2年)で、主にトンネル春夏どり及び秋冬どりの2つの作型で栽培されています。トンネル春夏どりのうち6月どり栽培では、収量、外観品質及び晩抽性に加えて、収穫となる梅雨期でもしみ症の発生が少ない品種が産地から要望されています。そこで、6月収穫のトンネル春夏どりニンジンの優良品種を選定するため、令和2年6月12日に第68回千葉県野菜品種審査会が開催されました。

審査会に当たっての栽培は、農林総合研究センター畑地利用研究室(香取市)で行われ、22品種が出品されました。出品された品種は、2月21日に播種し、ベッド幅120cm(条間12cm、株間13cm)の8条播きのトンネルマルチで栽培しました。本年は、トンネル除去後の5月以降の気温が概ね平年より高く、4月中旬及び5月下旬に適度な降雨があったため、収穫時の生育は良好でした。

根部の肥大や外観品質、断面の様子及び地上部の草姿等を審査した結果、1位は「アロマ809」(㈱トーホク)、2位は「アロマ810」(㈱トーホク)、3位は「F823」(㈱トーホク)、4位は「彩極」(㈱フジイシード)、5位は「クリスティーヌ」(ヴィルモランみかど㈱)、6位は「SK0-495」(㈱サカタのタネ)でした。入賞した品種はいずれもA品率が高く、抽台の発生は見られませんでした。上位4品種は根重が160g/本以上、収量が5,500kg/10a以上で、特に、1位の「アロマ809」は、L規格の割合が審査品種の中で最も高く、しみ症の発生がほぼ見られなかったことが評価されました。「アロマ809」は令和5年春に販売予定です。

写真:1位に入賞した「アロマ809」(㈱トーホク)。左上からサイズ順に配置、右下は規格外