5月どりダイコンべたがけ栽培の優良品種の選定 (第71回全日本野菜品種審査会)

2022年12月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 水稲・畑地園芸研究所 東総野菜研究室
職名及び氏名研究員 芹川 誉
題名5月どりダイコンべたがけ栽培の優良品種の選定 (第71回全日本野菜品種審査会)

 千葉県のダイコンは10月~6月どり栽培が中心であり、5月どりは出荷量が多く市場占有率も高い作型です。5月どりではこれまでトンネル栽培が行われてきましたが、近年では、晩抽性品種の登場等により省力的なべたがけ栽培が増えています。この栽培方法では春先の低温による抽台や短根、多雨による腐敗病等の病障害の発生が問題となることから、「第71回全日本野菜品種審査会」において、5月どりのべたがけ栽培に適する品種を選定しました。

 栽培は厚さ0.03mmの4条孔あきグリーンマルチを用いた幅150㎝のベッドに株間23㎝で令和2年2月20日に播種しました。播種直後からパスライト(ユニチカ株式会社)を間引き時(3月27日)までべたがけしました。栽培期間中の気温は4月に低温が続いたものの、期間を通して概ね高温で推移したことから肥大が進み、審査会が開催された5月22日における規格は2L~3Lサイズが中心でした。なお、期間中の気温が高かったことから抽台は発生しませんでした。

 出品された20品種中の7品種が入賞し、1等特の「豊誉(審査会時は「MKS-R725」)」(ヴィルモランみかど(株))、2等の「C8-658」、「C0-667」(いずれも(株)サカタのタネ)、3等の「春かなで 」(丸種(株))、「W1535」((株)渡辺採種場)、「TDA-777」(タキイ種苗(株))、「春宴」(雪印種苗(株))は5月どりべたがけ栽培の適品種と考えられました。「豊誉」は腐敗病の発生が無く、根重が最も重く、肌つやと形状が優れました。「春かなで 」と「TDA-777」は、先詰まりが良いこと、「春宴」は腐敗病の発生が少ないことが特徴でした。以上の4品種はすでに一般販売されています。

写真 1等特「豊誉(MKS-R725)」