エダマメ栽培で発生するダイズシストセンチュウの「緑豆すき込み法」による防除

2023年6月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 病理昆虫研究室
職名及び氏名研究員 梶浦 真衣
題名エダマメ栽培で発生するダイズシストセンチュウの「緑豆すき込み法」による防除

エダマメ生産において問題となっている、ダイズシストセンチュウ(写真1)はエダマメに寄生することで葉の黄化や枯死を引き起こす線虫です。本害虫の卵はシストという耐久体の状態で、土壌中で5年以上も生存するとされており、他の作物との輪作などの耕種的な方法では防除が難しいのが現状です。

そこで今回は、「緑豆すき込み法」という新たな防除法をご紹介します。「緑豆すき込み法」は、エダマメ作付け前後に緑肥用の緑豆を圃場で短期間栽培し、ダイズシストセンチュウの卵のふ化を促進させ、その後すぐに緑豆をすき込みます。これによって、餌を無くして餓死させ、線虫密度を低下させる防除方法です。当センターの線虫汚染圃場で実際に緑豆すき込み法の試験を実施し、緑豆播種適期や処理効果の検証を行いました。

その結果、エダマメ作付け後の処理では、7月~8月に10a当たり9~18㎏の緑豆を播種し、3週間程度の栽培後にすき込みを行うことで、高い処理効果が得られることがわかりました。土壌消毒等の化学的防除を行わなくても土壌中の卵密度を88%まで低減できました。また、線虫密度が高く、減収率が3割を超える圃場でも、D-D剤や殺線虫剤との組み合わせ処理を行うことで、卵密度を90%以上低減することができました。これによりエダマメの減収率を1割程度まで抑えられることが可能であると考えられました。

「緑豆すき込み法」を実施する際の注意点としては、緑豆を長期間栽培すると、シストセンチュウ以外の線虫を増殖させてしまう原因になるため、緑豆の栽培期間は必ず1か月程度にとどめて下さい。

(写真1)ダイズシストセンチュウの2期幼虫


(写真2)エダマメの根に寄生するシスト