春ダイコンの黒点症状対策

2024年10月

筆者所属東総野菜研究室
職名及び氏名上席研究員 田村 創
題名春ダイコンの黒点症状対策

1 はじめに
 4~5月に出荷される春ダイコンを中心に、近年、根部表皮に黒いしみのような斑点が無数に発生する黒点症状が問題となっています。本症状は収穫直後には発生が見られず、洗浄を経て出荷した後3~5日程経過した流通段階で発生します。
産地からの要望を受け、千葉県農林総合研究センターでは本症状の原因と対策技術を明らかにしました。
2 黒点症状の原因
 発生部から分離した細菌の接種試験や遺伝子検定(PCR)により、本症状はダイコン斑点細菌病菌による新症状であることが分かりました。
3 対策技術
 本症状の発生には品種間差が見られることから、品種選択は対策として有効です。春ダイコンの主要な品種のうち発生が少ないのは、「トップランナー」(タキイ種苗株式会社)と「春かなで」(丸種株式会社)です。
また、ダイコンを洗浄する際の洗浄機の水圧が高いと発生が多くなることから、泥汚れが落ちる最低限まで減圧することが有効です(写真)。
さらに、洗浄後の保存温度が高いほど発生が多くなることから、低温で保存することが有効です。
品種選択、洗浄水圧の減圧、洗浄後の低温保存の各対策を単独で実施しても黒点症状の発生を完全に抑えることはできません。3つの対策を組み合せることで、黒点症状の発生を効果的に軽減することが可能となります。


洗浄水圧による黒点症状の発生程度(左:低圧、右:高圧)