促成イチゴ土耕栽培における効率的な炭酸ガス施用方法

2024年11月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 野菜研究室
職名及び氏名主任上席研究員 前田 ふみ
題名促成イチゴ土耕栽培における効率的な炭酸ガス施用方法

近年、果菜類における炭酸ガス施用技術が改めて見直され、イチゴでも施用装置を導入する生産者が増えています。しかし、施用効果を高め、高い収益を得るには、単に施用するのではなく、炭酸ガス施用に合わせた温度管理等が必要です。ここでは、千葉県のイチゴ土耕栽培における効率的な炭酸ガス施用のポイントを紹介します。

施用時期と時刻
施用時期は外気温が低く、施設が密閉される時間が長い11~2月が適しています。3月以降は外気温が高く換気量が多くなるため、施用効率が悪くなります。施用時刻は、植物の光合成に合わせて、炭酸ガス濃度が低下し始める日出後の7時から、日没1時間前の15~16時までの施用が効果的です。

施用方法
施用方法は、チューブやダクト等を用いて株元へ行うと効果的です。最適な施用量は天候と時間帯によって異なり、晴天日の7~11時は700~800ppmを目標として1.5㎏/10a/hを施用します。同様に11~16時は400ppm以上を目標とし0.3kg/10a/hを施用します。曇雨天日は光合成量が少ないため、1日を通して0.3kg/10a/hとします(図)。天窓の自動開放等により換気量が多いときは、目標濃度以下でも問題はありません。

換気方法
7~11時は換気設定温度を28℃とし、11~16時は25℃に下げます(図)。このように管理をすると、日平均気温が高くなるため、成熟日数は短くなりますが、炭酸ガス施用により光合成量が増加するため、2月までであれば糖度は低下しません。また、成熟日数が短くなることで、株の老化が抑えられるとともに、収穫のテンポが早まり1割以上の増収につながります。


図 イチゴ土耕栽培における炭酸ガス施用量と換気温度