診断でリン酸多けりゃリン酸減肥!~砂質土の現地トマト栽培における実証~
2025年11月
| 筆者 | 所属 | 土壌環境研究室 |
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| 職名及び氏名 | 研究員 宮本昇 | |
| 題名 | 診断でリン酸多けりゃリン酸減肥!~砂質土の現地トマト栽培における実証~ | |
近年、全国的に農耕地土壌の可給態リン酸含量が増加しており、千葉県では特に砂質土の施設ほ場で高いことがわかっています。土壌に蓄積しているリン酸を有効利用できれば、肥料費の削減など農業生産上の利点は大きいです。これまでに、当センター内の試験において、可給態リン酸含量が土壌診断基準の上限値である100gあたり100mgを超える砂質土では、リン酸無施用でトマトを栽培しても収量が変わらないことを明らかにしました。今回は、土壌の可給態リン酸含量が高い複数の砂質土の現地施設トマトほ場において、リン酸減肥栽培を実証しましたので、その結果を報告します。
作付前の現地試験ほ場における土壌の可給態リン酸含量は100gあたり204~307mgでした。それぞれ異なる現地ほ場で抑制栽培または半促成栽培を実施し、基肥でリン酸を施用しないリン酸減肥区と通常の量を施用する慣行施肥区を設けました。なお、追肥はリン酸を含む液肥を施用しました。
リン酸減肥がトマトの生育及びリン吸収に及ぼす影響を明らかにするため、トマトの草勢の指標とされる生長点から14cm下の茎径と葉柄汁液中(ピンポン玉大に肥大した果房直下の小葉)のリン濃度を測定しました。また、トマトの果径を測定し、その値から可販収量を推定しました。その結果、茎径、リン濃度、推定可販収量ともに、いずれの作においても両区間で大きな差はありませんでした(図1)。
これらのことから、土壌の可給態リン酸含量が100gあたり100mgを超える砂質土のほ場では、土壌に蓄積しているリン酸を有効利用することで、トマトを生産することが可能です。

図1 トマトの推定可販収量


