猛暑を考慮したトマト黄化葉巻病対策~通風性ネットの利用で高温対策を行いながらウイルス対策~
2025年8月
| 筆者 | 所属 | 病理昆虫研究室 |
|---|---|---|
| 職名及び氏名 | 研究員 中山大誠 | |
| 題名 | 猛暑を考慮したトマト黄化葉巻病対策~通風性ネットの利用で高温対策を行いながらウイルス対策~ | |
トマト栽培では、タバココナジラミが媒介するトマト黄化葉巻病の発生が問題となっています。本病に感染すると生長点が萎縮し、著しい生育障害を引き起こします(写真)。防除には、「ハウス開口部への0.4mm目合いネットの展張によるタバココナジラミの侵入抑制」、「定期的な殺虫剤散布」、「発病株の除去」等の様々な個別技術を組み合わせた総合的防除が効果的です。しかし、0.4mm目合いネットは高い侵入抑制効果がある一方で、通風性が低くハウス内の温度上昇を招くことから、生産現場では導入が進みにくいのが実情です。そこで、防除効果と通風性を兼ね備えた防虫ネットを選定しました。
機能性を改善した0.3×0.6mm目合いネット(以下、機能性ネット)並びに対照として0.4mm,0.6mm目合いネットでそれぞれ覆った容器を作成し、容器内にトマト苗を設置しました。そして、容器外にタバココナジラミ成虫30頭を放飼し、24時間後にネットを通過してトマト苗に寄生した虫数を調査しました。
その結果、0.4mm目合いネットでの平均侵入数は3.3頭、0.6mm目合いネットでは13.0頭だったのに対し、機能性防虫ネットでは2.7頭と少なくなり、通風性は0.6mm目合いネットと同等でした。
さらに、現地ミニトマト圃場において、「ハウス開口部への機能性ネットの展張」、「約10日間隔の殺虫剤散布」、「発病株の除去」を組み合わせた総合防除を実施した結果、コナジラミおよび黄化葉巻病の発生は大きく抑制できました。また、ハウス内気温も0.6mm目合いネット使用時と同等であることが確認できました。
以上より、機能性ネットを活用した総合防除を講じることで、猛暑環境を考慮しつつ、黄化葉巻病の防除が可能であると考えられました。

【写真】トマト黄化葉巻病の発病によりトマトの生長点が萎縮した様子


