どこを優先?台風時のネギ倒伏被害対策

2025年9月

筆者所属水稲畑地園芸研究所東総野菜研究室
職名及び氏名研究員 大川佳織
題名どこを優先?台風時のネギ倒伏被害対策

 秋冬どりネギでは、台風等の強風によって倒伏することがある。倒伏すると土寄せ作業ができず収穫が遅れ、さらに収穫物の曲がりも問題となる。対策として、台風前の土寄せによる倒伏軽減、倒伏後にネギを起こすネギ直しがあるが、台風前後の限られた時間で全ての圃場を対策することは難しい。そこで、それらの対策について優先する圃場の判断ポイントを紹介する。
 作業を優先すべき圃場は、倒伏後にネギの回復(起き上がり)が遅い圃場である。そのような圃場では倒伏後の土寄せ作業の遅れや、ネギ直しが必要になり被害が大きくなりやすい。以下に回復が遅延する3つの要因を示した。
まず①早生品種を栽培している圃場(表1)や、②年内どり等で生育が進んでいる圃場(写真1)である。これら圃場のネギは、地上部が重いため、風で倒れやすく、また起き上がりにくい。次に③倒伏角度が大きい圃場である。倒伏角度が大きい程、回復に日数を要する(写真2)。特に土寄せが遅れている圃場は、土の壁による制限が効かずに倒伏角度が大きくなりやすい。以上の3つの遅延要因が多く重なる圃場を優先して台風前の土寄せや倒伏後のネギ直しをする必要がある。
また、ネギ直しは作業負担が大きく、より限られた面積でしか実施できず、更にネギ直しをいつやるべきか、曲がり低減に効果的か等は不明であった。試験の結果、実施時期の違いや有無によって、収穫物の曲がり発生の程度はそれほど変わらなかった(写真3)。ネギ直しの意義は、曲がりを減らすのではなく、早期に土寄せ作業を可能にし、収穫遅延を回避することが主であると考えられた。そのため①~③の回復の遅延要因に加え、耐寒性や晩抽性等の品種特性から収穫を遅らせられない圃場の優先も考慮する必要がある。また、倒伏被害が大きい圃場では曲がりが多く発生するため、被害が極めて激しい場合には優先から外し、収穫を諦める判断も重要である。


注1)強風後の倒伏程度を示した
 2)倒伏程度は0~3で評価 
0:倒伏なし 1:少し傾いた程度
2:大きく傾く 3:畝の肩に葉がつく
3)夏扇4号~関羽一本太までが主な早生性品種である


生育による倒伏後の回復の早晩
注1)10/10に人為的に倒伏させて(〇で囲った部分)14日後の回復の様子を示した
  2)品種「夏扇4号」


倒伏角度よる
回復の早晩
注1)9/16に人為的に倒伏させて(〇で囲った部分)7日後の回復の様子を示した
2)品種「龍ひかり2号」


収穫物の曲がりの様子
注1)10/13に人為的に倒伏させた後、ネギ直しを行うタイミングを変えた
 2)翌年1月16日畝長50cmを収穫し、収穫物の曲がり程度を評価し、曲がり度
(数字が大きいほど曲がりが大きい)を算出した
  3)品種「龍ひかり2号」4/15播種-6/1定植