近年の気象条件が水稲栽培へ与える影響と安定生産対策

2025年6月

筆者所属水稲温暖化対策研究室
職名及び氏名中村 充明
題名近年の気象条件が水稲栽培へ与える影響と安定生産対策

 千葉県では水稲の作柄安定を目的に、毎年同一条件で水稲を栽培して生育や収量を調査し、得られた調査データを基に水稲の生育概況や技術情報を生産農家や関係機関に発信している。近年は気温の上昇により水稲の出穂期が早まるなど、出穂期前後の栽培管理適期の判断が難しくなっており、加えて夏季の高温等により玄米の外観品質が低下し問題となっている。そこで、気候変動が水稲生産に及ぼす影響と安定生産対策について紹介する。
 水稲の生育期間にあたる4~8月の気温は過去40年で0.05℃/年の割合で上昇し、特に平成21年以降は気温が高い年が多い。このため、4月30日~5月2日植え「コシヒカリ」の過去40年間の出穂期は0.26日/年のペースで早くなる傾向である(図2)。
 このような近年の気象状況下において、玄米の農産物検査において等級落ちの要因となる白未熟粒の発生が多くなっている。対策としては、稲の各生育ステージにおける適切な栽培管理(適切な水管理や施肥等)を行い、収穫直前まで稲体(地上部及び根)を健全に保つことが重要である。具体的には、水管理のうち中干しは茎数が目標茎数に達したら速やかに行う。生育前半の高温により稲の茎数が増えて中干しが遅くなると、籾数過剰となって倒伏し玄米外観品質の低下を招く。また、施肥管理のうち追肥は、出穂期前7~5日(穂ばらみ期)に葉色を確認し、葉色が淡い場合は、10a当たり窒素量で1kgを上限(食味低下を防ぐため)に行う。登熟期間の葉色が淡いままであると玄米外観品質の低下を招くので注意が必要である。
 なお、幼穂形成期以降の栽培管理の適期はほとんどが出穂期を基準としているが、千葉県では県内の水稲の出穂期と作業適期を予測する無料のWebアプリ「でるた」を公開しており、ぜひともご活用していただきたい。