EOD-heating処理によるエラチオール・ベゴニアの暖房コスト削減

2023年11月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 花植木研究室
職名及び氏名研究員 中島 拓
題名EOD-heating処理によるエラチオール・ベゴニアの暖房コスト削減

エラチオール・ベゴニアは県内全域で周年生産が行われています。特に出荷量が多いのは年末から5月上旬ですが、この出荷時期の作型は厳寒期の栽培となるため、暖房の燃料消費量が多く、削減が求められています。そこで、暖房の燃料消費量を削減できるEOD-heating処理を紹介します。

EODとは日没(End of Day)の略で、EOD-heating処理は日没後の数時間を慣行より高く、それ以降の夜間を慣行より低い気温で暖房する栽培方法です。
エラチオール・ベゴニアは、15℃未満の気温が続くと生育が著しく遅れてしまうため、慣行では最低気温が16℃以上となるように暖房管理されています。これに対し、日没後の4時間を20℃、それ以降の夜間を12℃で暖房するEOD-heating処理を行うと、16℃一定で暖房する慣行栽培と同等の生育と品質で栽培できることが明らかとなりました(表、写真)。また、暖房の燃料消費量は室内気温を高くするほど多くなります。EOD-heating処理を行うと、夜間の平均気温が慣行より低くて済むので、燃料の消費量が15%以上削減できます。

なお、エラチオール・ベゴニアの生育は温度だけでなく日長の影響も受けます。冬期の作型では、栄養成長期を14時間程度の日長で管理しますが、EOD-heating処理を行う際は、16時間日長とすることで、さらに高い品質を確保できます。

表 EOD-heating処理が開花、生育及び暖房燃料消費量に及ぼす影響(平成30年度)

注1)暖房方法:EOD20℃4h/12℃:日没後4時間20℃とした後、日出まで12℃で加温
        16℃一定(慣行):日没から日出まで16℃で加温
 2)燃料消費率:16℃一定区の燃油消費量を100%として換算した
 3)日長は短日処理期間(平成30年12月10日~平成31年1月1日)は自然日長とし、その他の期間は16時間とした


写真 EOD-heating処理が開花及び生育に及ぼす影響(平成30年度)
注1)写真左:16℃一定(慣行)、右:EOD20℃4h/12℃
 2)暖房方法及び日長は表を参照