炭酸ガス施用の効果を高める促成キュウリの環境制御

2023年10月

筆者所属野菜研究室
職名及び氏名室長 中村 耕士
題名炭酸ガス施用の効果を高める促成キュウリの環境制御

キュウリなどの施設野菜では、光合成効率を高めるために低濃度で長時間の炭酸ガス施用が有効です。ここではキュウリの促成栽培での炭酸ガス施用の効果を高める温度管理等の環境制御のポイントを紹介します。
炭酸ガス施用 施用時期は、11月~4月に日出頃から日没1~2時間前まで、施用量はキュウリが十分に育った状態で、晴天日が3kg/10a/h程度、曇雨天時はその1/3程度とします。濃度は大気中濃度よりやや高い500ppmを目標としますが、換気時には濃度がこれより低下しても差し支えありません(図)。
温度管理 温度管理は最高・最低ではなく日平均を目安に行います。日平均気温の目標を無施用のときよりやや高めの20℃とし、光合成量が多い季節は高めに、少ない季節は低めにします。4月以降は日射量が増えるため、20~24℃を目標に管理します。

暖房は最低気温が10℃を下回り始める11月上旬頃から開始します。設定温度は暖房開始時には10℃とし、その後徐々に設定温度を上げ、夜の時間が長い厳寒期には15℃を基本とします。
換気設定温度は、光合成の適温25~28℃としますが、昼の時間が短い冬季には、夜温を相当高く設定しないと日平均気温が目標に達しません。このため、日中の最高温度を果色が悪くならない上限温度33℃まで高めて、暖房の燃油を節約します。

湿度管理 好湿性病害の発生を防ぐためには夜間~早朝の除湿が重要です。施設内が高湿度となるのを防ぐために、無暖房の季節には、終夜にわたりわずかに換気を行います。朝方のみ暖房している季節には、夜間の換気は止めますが、カーテンは開放のままにします。これにより、植物体に発生する結露を防ぎ、病害の発生を抑えることができます。

これらのポイントを押さえた環境制御を行い、収量性の高いキュウリ栽培の実現を目指しましょう。

【図説明】時期別の環境制御の目安