安房地域における年内どりレタスのべたがけ栽培

2023年9月

筆者所属千葉県農林総合研究センター野菜・花き研究室
職名及び氏名研究員 曽我 みちる
題名安房地域における年内どりレタスのべたがけ栽培

 館山市神戸(かんべ)地区では水稲の裏作としてレタス栽培を行っており、国の指定産地になっています。
 冬どりレタス栽培では、通常トンネル栽培が行われていますが、トンネルの設置作業は重労働であるため、産地から省力的な栽培技術の確立が求められていました。そこで、トンネル支柱を使わないべたがけ栽培を確立しました。
べたがけ栽培では、ビニールを用いたトンネル栽培に比べて生育期間中の保存性が劣るため、耐寒性に優れる品種が求められます。8品種を供試した結果、「シスコビバ」(タキイ種苗(株))及び「アスレ」(住化農業資材(株))は、生育が良好で、生理障害及び腐敗病が少なかったため、10a当たりの収量が他の品種よりも多くなりました。このことから、この2品種をべたがけ栽培の適品種として選定しました。
 また、複数種類のべたがけ資材を用いて収量や生育を比較したところ、保温性と通気性に優れるベタロンDT-550(PVA割繊維不織布、(株)イノベックス(旧ダイオ化成(株)))を用いると生育に問題がなく、可販率が86%で10a当たりの可販収量が3.6tとなり、ビニールを用いたトンネル栽培と同等でした。作業時間は、トンネル栽培では10a当たり10.7時間かかりましたが、べたがけ栽培は支柱立てがなくなり、10a当たり4.0時間と6割以上削減できました。
 以上のことから、安房地域における年内どりレタス栽培では、べたがけ栽培を導入しても、収量は変わらず、省力化が実現できることが明らかとなりました。この結果を受けて、産地ではベタロンDT-550を用いたべたがけ栽培の導入が始まっており、今後、普及面積の拡大が期待されます。

【写真】不織布をべたがけする様子