4月下旬のマルチ+べたがけによるブロッコリー栽培法

2023年8月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 水稲・畑地園芸研究所 東総野菜研究室
職名及び氏名研究員 鈴木 結花
題名4月下旬のマルチ+べたがけによるブロッコリー栽培法

千葉県では10月から翌年6月までブロッコリーが出荷されています。4月は国産品が少なくなる端境期で、高単価販売が期待できます。4月上旬どりは、極晩生品種を用いた9月下旬~10月上旬播き、11月上旬定植で可能ですが、4月中下旬どりには、ハウスやトンネルが不可欠でした。しかし、マルチとトンネルの設置には労力や資材費がかかることから、県内の栽培はごく一部に限られています。そこで、これらを改善するため、トンネル栽培よりも簡易で低コストなマルチ+べたがけによる4月下旬どりの栽培法を確立しました。

4月下旬どり栽培に好適な品種は「おはよう」((株)サカタのタネ)や「恵麟」(トキタ種苗(株))です。播種は11月下旬に行い、基肥は10a当たり窒素30kg、りん酸30kg、加里30kgを標準とします。95cm幅の穴あきマルチ(2条千鳥、株間30cm)を展張して、1月下旬に定植します。遅れると株が十分に育たず花蕾が小さくなるため、定植時期は守ってください(表1)。

表1 品種と定植日による花蕾の生育の違い(旭市)

注)地域の気象条件により定植適期がずれるので、導入前に試験栽培を行うこと

べたがけは「パスライト」((株)ユニチカ)などの不織布を用い、定植直後から行います。生育に伴い、資材に押さえられて葉が傷むので、生育途中に何度か張りを緩めます。このため、資材はマルチより1m程度幅広のものを使用します。べたがけの撤去は3月中旬から4月上旬に行います。この時期はべと病やコナガが多発しやすいので、撤去に合わせて薬剤散布を行います。

以上の方法により端境期にもブロッコリーの出荷が容易となり、一層の生産拡大が期待できます。ぜひ導入を検討してみてください。