年内収穫に適した秋冬どりニンジンの優良品種の選定

2021年7月

筆者所属農林総合研究センター 水稲・畑地園芸研究所 畑地利用研究室
職名及び氏名研究員 山下 雅大
題名年内収穫に適した秋冬どりニンジンの優良品種の選定

千葉県のニンジンは、作付面積が2,950ha(令和元年)で、全国第2位の生産量があり、本県の主要な野菜の一つとなっています。また、7月下旬から8月中旬頃に播種し、11月から3月にかけて収穫される秋冬どりニンジンは、県内のニンジン作付面積の約8割を占める主要な作型となっています。秋冬どりニンジンのなかでも、8月上旬に播種する年内収穫の作型では、ニンジンの肩部に凹凸を生じるエクボ症、生育期間中の長雨に伴う黒葉枯病、商品価値を低下させるしみ症の発生などが問題となっています。そこで、年内収穫に適した秋冬どりニンジンの優良品種を選定することを目的に、農林総合研究センター水稲・畑地園芸研究所(香取市)において、第67回千葉県野菜品種審査会(主催:千葉県、日本種苗協会千葉県支部、(公社)千葉県園芸協会)が開催されました。

審査会には24品種が出品され、令和元年8月6日に播種しました。栽培期間中は3度の台風の上陸や接近に伴う強風や大雨で黒葉枯病が蔓延し、肥大が遅くなりました。

12月12日に草姿、根部の肥大性や外観品質等を審査した結果、7品種が入賞し、第1位から「DC-1079」(渡辺農事(株))、「紅まどか」(住化農業資材(株))、「ローラ」(みかど協和(株))、「THC202」((株)トーホク)、「クリスティーヌ」(みかど協和(株))、「雪馬」(タキイ種苗㈱)、「うまべに」(小林種苗(株))となりました。入賞7品種は黒葉枯病やしみ症の発生が比較的少なく、肥大が良く収量が多い傾向がありました。特に「DC-1079」(写真)、「クリスティーヌ」、「ローラ」は肥大が良好でA品率が高いだけではなく、エクボ症の発生率が低く、産地への普及が期待されます。

写真 第1位を受賞した「DC-1079」