おいしくて大玉多収となる「チーバベリー」の栽培のコツ

2023年7月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 野菜研究室
職名及び氏名主任上席研究員 前田 ふみ
題名おいしくて大玉多収となる「チーバベリー」の栽培のコツ

「チーバベリー」(品種名「千葉S4号」)は本県オリジナル品種としてイチゴ狩り園や直売経営を中心に普及し、多方面から好評を得ています(写真1)。しかし、大玉で甘みに加えて程よい酸味があり良食味という本品種の特徴が十分に発揮されず、低収量・チップバーンの多発・酸味が強く残るといった事例も見受けられます。そこで、おいしくて大玉多収となる栽培の3つのポイントを紹介します。

写真1 おいしくて大玉品種「チーバベリー」(品種名「千葉S4号」)

一つ目は大玉果実の着果負担に耐えられる充実した苗の育成です。クラウン径9㎜以上の大きな苗を植えることで、12月~2月の初期収量が増加し、4月末までの収量が多くなります(図1)。そのためには7月中旬までにランナーを鉢受して8月上旬までに切り離し、定植までの育苗日数50~70日を確保する必要があります。

図1 鉢受日、ランナー切離日による定植時クラウン径及び可搬収量

二つ目は株に過度なストレスを与えないための施肥とかん水です。「チーバベリー」はチップバーンが発生しやすく、特にがく片に発生すると商品価値が低下します。チップバーンは主に基肥の窒素過多と水分不足により顕在化します。対策として、土耕栽培では、基肥窒素を「とちおとめ」より少ない12kg/10a以下を標準とします。かん水は定植から10日間程度は活着を促すためクラウン周辺が乾かないように1日に数回こまめに行い、その後は2~3日に1回を目安にかん水します。

三つ目は食味を意識した温度管理です。「チーバベリー」は適度な酸味が特徴ですが高い夜温管理では、果実の成熟日数が短くなり酸味が残りやすくなります。11月~2月の夜温は5℃程度と、なるべく低温管理にしてじっくり熟成させます。これらのポイントを押さえて、おいしくて大玉多収の「チーバベリー」を栽培しましょう。