ベル咲きキンギョソウの遠赤色LED電照栽培による開花促進

2020年2月

筆者所属千葉県農林総合研究センター暖地園芸研究所
野菜・花き研究室
職名及び氏名主席研究員 種谷 光泰
題名ベル咲きキンギョソウの遠赤色LED 電照栽培による開花促進

キンギョソウは近年、温暖化の影響で7~8月の育苗・定植時期が高温となるため、発芽や活着が悪くなるなど、栽培が難しくなっています。そこで、高温期の育苗を避けるため、播種時期を遅らせる一方で電照栽培による開花促進技術を用いて年末からの出荷が可能に
なるかをベル咲き6品種について検討しました。

慣行作型の7月下旬播種・8月下旬定植(以下、8月定植区)と、1か月遅らせた8月下旬播種・9月下旬定植作型で、遠赤色LED(波長730nm-740nm、9W、鍋清(株))を摘心日から発蕾期まで、日没から自然日長と合わせて16 時間日長となるように電照する区(以下、9月定植電照区)と無電照区(以下、9月定植区)を設けました。

開花始めを比較したところ、8月定植区の切り花は全ての品種で10 月からだったのに対して、9月定植区のそれは半数の品種で年明け以降となりました。9月定植電照区は9月定植区に比べて前進し、切り花は全ての品種で12 月からとなりました(図)。

9月定植電照区と8月定植区の切り花本数を比較した場合、4月までの株当たり切り花総本数では差がありませんでした。なお、9月定植電照区の切り花長は、節数の減少に伴って短くなりますが、80 ㎝以上は確保されているため、出荷に際しては問題ないと考えられ
ます。

以上から、ベル咲き品種を用いれば8月下旬播種・9月下旬定植の作型でも、電照栽培によって、年末からの出荷が可能となることが明らかとなりました。10~11 月の切り花本数は減少するものの、比較的に切り花単価が安定している1月及び3月に切り花本数が増加
する傾向があるため、収益は慣行作型以上になると見込まれます。