夏期高温期に利用できる花壇苗品目と活着促進技術

2020年1月

筆者所属千葉県農林総合研究センター 花植木研究室
職名及び氏名主任上席研究員 市東 豊弘
題名夏期高温期に利用できる花壇苗品目と活着促進技術

今年の夏、東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。世界各国から多くの観光客の来訪が予想されており、会場周辺の花壇植栽や緑化が進められる計画です。しかし、夏期高温期の栽培に適した品目や品種の情報が少なく、緑化施工業者や種苗会社
からは大会開催期間中の植栽を成功できるか心配の声が寄せられていました。

そこで、夏期植栽に適した花壇苗品目を選定するとともに活着促進技術を開発しました。
東京都お台場地区や千葉県幕張新都心地区での植栽試験では、「夏に強い」とされていた品目でも花が連続して咲かないものや葉の傷みが激しいものなど、観賞性を維持できない品目が多数認められました。一方、ビンカ、ペチュニア、ジニア、コリウスなどが安定した生育を示しました。

試験の結果から、植栽場所の条件に応じて52 品目292 種を選定しマニュアルを作成しました。
夏期高温期の花壇苗の植え付け時の活着不良の主な原因は、高温環境で植物体中の水分が蒸散によって急速に失われるためと考えらます。そこで、植え付け後の適切な潅水頻度や効果の高い発根促進資材を検討しました。その結果、植え付け後1 週間毎日潅水すると、潅水頻度の少ない区に比べて根量が多く、活着が良いことが明らかとなりました。

さらに潅水量が少ない状況下では、活着促進資材として、「早根早起」(味の素ヘルシーサプライ(株))又は「APEX-10」(アースコネクション(株))を花壇定植時に施用すると、根量が多く、根張りが良いことが明らかとなりました。

夏花壇向けの品目や特性の詳細は、東京都、埼玉県と共同で作成した「夏花による緑化マニュアル」にまとめましたので、下記HP でご確認ください。
https://www.tokyo-aff.or.jp/site/center/1092.html


写真 東京都お台場地区「おもてなし花壇」コンクールでの実証