無加温ハウスを利用した夏ネギ栽培法

2020年11月

筆者所属農林総合研究センター 東総野菜研究室
職名及び氏名研究員 大川 佳織
題名無加温ハウスを利用した夏ネギ栽培法

4~6月はネギの端境期であることから、市場から生産拡大の要望がされており単価も高い商材です。無加温ハウスを利用することで5月初旬からの夏ネギの出荷が可能になり、トンネル栽培の夏ネギとの連続出荷が見込めます。
5月初旬に出荷するためには、晩抽性かつ葉鞘部の太りが早い「春扇」((株)サカタのタネ)を10月上旬に播種し、11月下旬に定植します。

ハウス栽培の重要ポイントの一つは、かん水です。土寄せの作業等も考慮すると頭上かん水が適し、週に3回のかん水により土が適度に湿っている状態を維持します。かん水量は、換気量の少ない2月中旬までは1回当たり10mm、それ以降は20mmを目安とします。水分が不足すると生育が劣るため、全体に十分な量がかかるようかん水の方法や量を調整してください。
土寄せは2月上旬までに元寄せを始め、3月上旬とその15日程度後に追肥・土寄せ、4月上旬に止め土することで、5月初旬にLA規格で収穫開始することができます。5月初旬は品薄ですのでLA中心に早く出荷する方が単価面で有利なことも多いです。
換気については、厳寒期の12月下旬~2月上旬は、抽台防止のためハウスは密閉し、日中に高温が確保できるようにします。2月中旬以降は、日中にごく高温となる日があるため、サイド換気を開始します。換気開始当初は西または南側の風下側だけを少し開け、晴れた日の日中最高気温30℃程度を目標に徐々に換気量を増やし、4月以降はごく低温の日を除き、夜間も全開とします。換気開始後は朝夕に開閉を繰り返す必要はないですが、強風時には風上側を閉じ葉折れや曲がりを防止して下さい。

写真 ハウス栽培中のネギの姿