簡易ミスト装置を使ったシクラメンの高温対策
2020年6月
筆者 | 所属 | 農林総合研究センター |
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職名及び氏名 | 研究員 室田 有里 | |
題名 | 簡易ミスト装置を使ったシクラメンの高温対策 |
シクラメンは夏季の高温により品質低下が起きる可能性があります。ここでは30万円/10a程度で導入可能な簡易ミスト冷房の効果とシクラメンの生育に与える影響について紹介します。
粒径30~90マイクロメートル程度のミストを噴射できるノズルをベンチから1.6メートルの高さに2メートル間隔で設置し、ポンプ、電磁弁、リレー装置、ミストノズル等を接続することで、簡易ミスト装置を自作することができます(写真)。水圧が4bar以上(水道圧程度)あればポンプは不要です。簡易ミスト装置稼働中は送風機により施設内の空気を循環させ、温度ムラを少なくします。
晴天の日の8時30分から15時30分まで、ミスト散布5秒・インターバル20秒の設定で簡易ミスト冷房を実施しつつ、遮光(午前東側、午後西側、遮光率50~55%)すると、屋根全面を遮光(遮光率50~55%)し、簡易ミスト装置を利用しない場合と比較して、日中の平均気温を約1.5℃下げることができます。また、暑い日の冷房効果は高く、最大4℃程度下げられる場合もあります。
簡易ミスト装置を利用すると、株がコンパクトになる傾向があり、徒長対策として利用できます。また、開花数は少なくなる傾向がありますが、株サイズに対する葉及び花のボリュームは十分確保でき、開花も早めることができます。
簡易ミスト装置の利用により植物体が濡れるので、細菌性の病害を重点的に防除します。また、ミスト散布時間を短縮するかインターバルを延長する、ノズル設置位置をなるべく高くするなど、濡れを軽減できるように調整し、高温対策に簡易ミスト装置を利用してください。