水稲新品種「粒すけ」の特性を発揮させるための栽培法

2020年7月

筆者所属農林総合研究センター 水田利用研究室
職名及び氏名研究員 西川 英輝
題名水稲新品種「粒すけ」の特性を発揮させるための栽培法

「粒すけ」は、千葉県が13年の歳月をかけて開発した水稲の新品種で、「コシヒカリ」と比べて、収穫時期は同じで倒伏に強く、大粒で収量が多く、また、食味は「コシヒカリ」と同等以上で、様々な料理に合う食感が特長です。本年度から県内の約500haの水田で一般栽培が開始され、3,000tの生産量が見込まれています。県では生産目標を令和3年度は1,000ha、令和5年度は2,000haに定め、生産拡大を図っていく計画です。ここでは、「粒すけ」の良質で良食味な特性と、多収性を発揮させるための栽培のポイントを紹介します。

移植時期は4月下旬~5月中旬とします。播種量は、1箱当たり乾籾150g(種籾4㎏で約26箱播種)とし、栽植密度は坪55~60株にします。
「粒すけ」の多収性を発揮させるためには、「コシヒカリ」より基肥窒素を多く施用し、生育初期の分げつを旺盛にすることが重要です。基肥窒素量は表のとおりですが、現地で慣行栽培されている「コシヒカリ」の基肥窒素量の1.5倍(壌質土や粘質土等窒素肥沃度が高い圃場)~2倍(砂質土等窒素肥沃度が低い圃場)を目安とします。
穂肥は、窒素を砂質土及び壌質土で3kg/10a、粘質土で2kg/10a、加里を土壌の種類にかかわらず3kg/10aとして出穂期前18日(幼穂形成期から約1週間後)に施用します。窒素不足は、収量や玄米品質の低下を招きます。また、窒素過多は倒伏を助長しますので、適切な肥培管理を心がけましょう。

収穫適期は、出穂期後の日数でみると、4月下旬移植では38日前後、5月中旬移植では40日前後で、穂全体の85%の籾が黄化した時です。刈り遅れは、胴割れ等の玄米品質の低下の原因となるので、適期に収穫し、高品質で良食味な「粒すけ」を生産してください。

表 土壌の種類及び移植時期別の「粒すけ」の基肥施用量(kg/10a)

注)「コシヒカリ」の窒素施用量は砂質土:香取市、壌質土:千葉市、粘質土:鴨川市での慣行の施用量を示す